日本は、世界で唯一、今の人類の主流文明である西洋文明へのチャレンジを続けている文明をもつ国です。大きな観点から人類の未来を予測する時、日本文明が全地球を覆っている「西洋文明が生み出す様々な限界」を突破し、人類に新しい希望と感動を与える「人類の黄金時代」を切り開くことができるのかが、重要な鍵になると思います。
文明の発展を、誕生・成長・挫折・解体・滅亡の五段階とするなら、今の時代は、西洋文明の挫折と解体の段階、すなわち「矛盾が溢れるカオスの時代」へ突入している時だと思います。 歴史文明学者A・J・トインビーは、文明崩壊の危機に対して有用な応戦ができない人類文明は滅亡してしまうと論じています。私は、日本文明がより成長成熟し、西洋文明の弱点を補完し、夢と希望が溢れる人類の黄金時代を切り開くことができると確信しています。
今の時代を見ると、多様な問題が発生しています。 例えば、
・各分野の専門家は増えているのに、様々な問題は解決されず、増えていくばかり
・人の所有できるものは昔より多くなったが、感動や満足感は減り、価値を感じられなくなっている
・寿命は長くなったが、本当に感動的な生き方は難しくなっている
・あちらこちらで平和を語るけれど、戦争やテロはより過激化し、増えている
・確かに自由さは増したが、熱情やミッションなどをもつことができない
・便利で立派な家は増えたけれど、家族の愛情や絆は薄れていく
・携帯やインターネットは便利になったが、意思疎通はより難しくなっている
中でも最も深刻な危機として、「貧富の二極化」が加速していることが挙げられます。これは資本主義である以上、必ず超えなければならない必然的な本質的限界でもあります。世界一、中産階級が多い日本社会でさえも、バブル崩壊以降、貧富の格差、希望の格差がどんどんひどくなっているのです。 世界資本主義の大きな危機である、この貧富の二極化を突破するためには、所得再分配による経済政策も考えられますが、これでは経済成長の沈滞化を引き起こしてしまい、失業者が溢れるという問題にもつながってしまいます。
このような資本主義の宿命的ジレンマを解決できる有効的な方法は、一体何なのでしょうか。 私は、それが「持続的に成長可能な新しい産業の胎動」であり、その新しい産業こそ「認識産業」だと思います。すでに存在している商品や産業だけでは、雇用創出も経済成長も難しく、貧富の二極化を悪化させるだけです。 新しい産業である「認識産業」を胎動させるためには、新しいアイディア、新しい創造力をもった、進取的でチャレンジ精神溢れる人材が必要です。そして、そのような人材を次々と育成する事ができる「教育」が必要であり、その教育の元となる新しい哲学、新しい学問、新しいパラダイムが必要となります。今までの多様な学問の長所をすべて融合させ、人類の無限の知恵を引き出すことができる、今までとはまったく違う次元の新学問、グローバルスタンダードの融合学問が必要なのです。
ここで提唱する「HITOTSU学」は、そのような融合学問であり、科学、哲学、宗教など、あらゆる分野を統合した「究極の力」に基づく学問です。この究極の力とつながった、一人ひとりの「認識革命」が可能になれば、「持続的に成長可能な認識産業の胎動」が始まります。そして、今まで解決不可能とされていた問題を解決し、人類が想像もしていなかったような新しい歴史、新しい文化文明を創造することができるでしょう。
そして、その流れを最もリードできるのが日本文明だと私は思います。日本文明の成功は、「様々なものを溶かし、和解させ、融合させてしまう、溶鉱炉のようなソフトパワーの文化」にあると思います。すべてを溶かしきったところから、まったく新しいものを生み出す「革新」。それを可能にできるからこそ、現代の世界資本主義の本質的危機も解決させることができるのではないでしょうか。
様々な矛盾や問題をこれ以上繰り返さないために、地球上に住む一員として、一人でも多くの人たちが知恵を出し合い、突破口を切り開いて行く時が来ています。 今、日本は過去の成功体験を溶かし、いったん放棄して、新しい世界に進まなくてはならない時です。今まで「物と技術と商品」を融合させ、輝かしい成功を収めた実績ある日本だからこそ、「心と教育と商品」の融合を可能にさせることができるのです。
すべての問題解決の鍵は、教育です。どんな教育によって、どんな認識の個人や組織を創出し、どんなパラダイム、どんな文明を創造するのか。そのために、この本と「HITOTSU学」がお役に立てることを願っています。本書では、まず「認識革命」とは何なのかを、お話することから始めていきたいと思います。