「新しいビジョン」が必要
「新しいビジョン・価値観を立てないとダメだ!ということは、みんなわかっている。けれども、社員や役員みんなの判断基準がバラバラで、未来に対するビジョンもバラバラだから団結できない。ひとりひとりの考えが違うし、未来設計も違う。そして、会社に何が一番重要なのか、優先順位も今わからなくなっていて、売上が上がらない―」こんな声を弊社のお客様からもよく聞くようになってきました。
ある経営者の方が「新しい価値観でリセットしようとしても、かなり抵抗がきますね。」とおっしゃっていたのですが、社員は目先の仕事が忙しいのに「新しい価値観が必要だ」と言っても受け入れられない、メンバーがなかなか賛同してくれない、という事実に悩む方は意外といらっしゃるのではないでしょうか?
だから、企業の新しい価値観を立てることができないし、新しいビジョンを創ることができない。未来設計ができない、目標設定ができない。結果として成長エンジン(社員のモチベーション)が稼働できない。そんな状態だから、社員と社員の家族もみんな苦労している、不安でしょうがない。国と国民も同じ。仕事のやり方、思考方式が古いプレートにつかまれていて、今までやったことをただ繰り返している。「このままではダメだ」と思っているけど、赤字が増えていくから、経営者は孤独感が募るばかり。楽しくないし、未来が見えない。この孤独で絶望的な状況の中に、多くの日本の経営者、リーダーがいて、どんな組織も同じような状況になりつつあるのが今の日本の現在地ではないでしょうか。
それでも求心力を持って、新しい価値観を打ち立てよう!とする企業は、次の3つのポイントを必ず押さえている必要があります。
① 企業の存在目的
「なぜ、何の為に、私(自社)は存在しているのか」この企業と個人の存在目的が明確でなければ、これからの時代で生き残ることは難しくなってきています。自社は何の為に存在するのか?その存在目的、意味、価値を企業理念・ミッション(使命)として掲げる企業も増えてきました。
自社が市場から消えて困る人が居るとしたら、その理由は何なのか?あなたが必ず存在しなければならない理由はあるのか?それを現代のマーケットと消費者は暗黙のうちに求めるようになってきています。この本質的な問いに答えられない企業・組織からは自然と人が離れ、商品は売れなくなり、時間の問題で消滅するようになる――個人にとっても組織にとっても、そんな厳しい環境に身を置かれる時代になりました。
自分たちの組織、会社だけが実現できる事。まずそれがあるのか、ないのか?それが顧客、社会、未来にとって役に立つものなのか?その価値を提供できるか否かが、新しいビジョンが受け入れられるかどうかの1つ目の判断基準になってきています。
② 核心価値
2つ目の判断基準は、コア・バリュー(核心価値)。企業活動において、すべてのことを考える際に、何を優先して選択するのか?意思決定をする際の優先順位を決める原則、基準点となる価値が非常に重要視されています。
核となる価値観が無い状態では、会議でも仕事の優先順位を決められず、社員も何を基準に物事を判断していいのか迷うことが増え、コミュニケーション・ロスや時間の無駄、業務の無駄を大量に生み出すことにつながりかねません。
逆にリッツ・カールトン(高級ホテル)やP&G(生活用品メーカー)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(医薬品・医療機器メーカー)のクレド(credo)にも観られるように、社員全体に核心価値が浸透し、どのような価値基準を中心に置くのか?が明確になっている企業は、高収益と社員の団結を実現しています。
③ ビジョン・未来像
世の中が現代の企業に求めているのが、存在目的、核心価値、そしてビジョン・未来像です。その会社が何の為に存在し、どのような価値基準を持ち、これから何をしようとしているのか。どのような夢と未来のイメージを持ち、10年後、20年後には何を実現しているのか。これらを投資家や顧客は見定めて、その会社と今後付き合っていくかどうかを決めるようになってきています。
売上や利益率などの営業計画に留まらず、どんな社会、未来を創りたいのか?といった経営者の夢が問われているといっても過言ではありません。明るいニュースの少ない現代だからこそ、誰もが憧れる未来、皆の夢が叶う社会を創造してくれる経営者に、時代の応援と飛躍のチャンスがもたらされるような世の中になってきています。
意思決定スピードが課題
上記の点も踏まえて、新しい価値観や未来のビジョンを策定する際に、日本企業の一番弱いところが、機動力・意思決定スピードの遅さです。よく「3流の企業は好き嫌いで判断する」「2流の企業は曖昧にする」「1流の企業は正しいか間違っているかを明確にする」といわれますが、あまり好き嫌いや善悪、正誤、○×をせず、曖昧に物事を決めようとするのが日本独特の会議文化ではないでしょうか。
ところが企業の価値観が曖昧だと、多様な問題が起きるようになってきます。
①目標設定が明確にできないし、毎日、毎週、毎月、何を徹底的にやるかわからない。
②顧客に何を提供すればよいかもわからない。
③実践するスピードも遅い。
これが今の日本企業の病気です。時代が変わり、社会のプレートが変化するなかで、心の底から「新しい価値観が必要だ」と感じているのは経営者しかありません。自分のお金がどんどんなくなっていくから、危機を肌身に感じる経営者だけが切迫感を持つようになっています。その経営者の切迫感が共感されなければ企業自体のイノベーションはできないのに、社員は「自分の給料さえ貰えればいいや」って思っているから本当に大変なのです。
特に不平不満を持っている社員は、変化に対して必ず文句を言います。その人たちも取り入れていかないと、会社全体のイノベーションは進みません。全体の雰囲気が「私たちの企業は新しい価値観を定立しなければダメだ」という共感を明確に共有してから、企業の価値観定立の上記①~③を推進していく必要があります。